偽装派遣の問題を人気キャラクター達のシリアスな演技でお楽しみください

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ピ○チュウの自我が目覚めた。
(僕らはどうして自分たちの"魅力"を切り売りして、他人の利益になるよう忠実な下僕のように、見ず知らずの人間を喜ばせなくてはならないんだろう)
彼がこのような疑問を持ったのは初めてであった。
ピ○チュウのそんな表情を感じ取り、ケ○ロ軍曹が声をかけた。
「なあ、なにを考え込んで居るんだ? 」
「いや、僕たちキャラクターって奴は、結局のところ誰かに利用されているだけなんじゃないかって思ったんだ」
「どういうことだい? 」
「だってそうじゃないか」ピ○チュウは興奮からかしっぽの先から放電した。「僕らは自分自身が評価されていることを知っている。けれどもその評価は僕たちになんの利益をもたらしたいんだい? そうだろ? 僕らの評価は誰でもないおもちゃ会社の利益に直結しているじゃないか。僕らへの評価は僕らになにをもたらしたんだい? 」
「ああ、なるほど。確かにそうかもしれないが……」ケ○ロ軍曹が言葉を濁したそのとき、「プーッ クスクスクス」と二人の背後から嘲笑ともとれる不遜な笑い声が聞こえた。
「誰だ」ピ○チュウが振り返る。下半身のひねりで、先ほどよりは落ち着いた放電状態のしっぽは弧を描き蛇のようにしなる。宙に浮かんだアンモナイトの螺旋のような光の残像を、ケ○ロ軍曹は、綺麗だ、と思った。が、ピ○チュウの視線の先にいる男を見て、その思いは余韻に浸る暇さえ与えず打ち消えた。
「お前が笑ったのか」男にピ○チュウは詰め寄った。
「や、やめろピ○チュウ……」
興奮したピ○チュウを止めるには、ケ○ロ軍曹の言葉は弱かった。それもそのはずだ。彼は萎縮していた。ピ○チュウの前に立つ、青い球体状の男を目にした瞬間から。
「なぜ笑った。答えろ」。
「いやあ、失敬。あまりにも馬鹿莫迦しいことで、プーッ、熱くなっているものだからね、クスクス」「馬鹿莫迦しいって? いま馬鹿莫迦しいってそういったのか? 」
「ああ、そうとも」男は二三度、深呼吸し息を整え「君には見えていないんじゃないか?」と付け加え、「君には、僕たちキャラクターっていうものがおもちゃ会社のためにあるってことを」と駄目を押した。
男はピ○チュウの反応を待たずに続けた。
「いいかい、僕たちキャラクターには、感謝しなくてはいけないものが三つある。一つは生みの親である作者先生様、一つは僕たちを肯定してくれているお客様、そして最後の一つは僕たちを管理運営してくれているおもちゃ会社の首脳陣、まあこれはおもちゃ会社っていいかえてもかまわないが」
「そんなのでたらめだ。僕は作者である先生にも、僕たちを手にとって喜んでくれているお客様にも感謝している。けれど、おもちゃ会社は僕たちに何をしてくれたっていうんだ? 何を感謝しろっていうんだ? 」
「管理だよ、管理。僕たちは一人じゃなにもできないんだよ。君たちの映画だって、君一人じゃできやしないだろう。そういうところをおもちゃ会社の皆さんがやってくださっているんだよ」
「違う、僕は映画になんて出たくなかった」ピ○チュウは金切り声で叫んだ。「あんな指の先まで決められた動きをしなきゃいけないような、不自由な環境にはいたくなかった」
プーッ、クスクスクス。男は笑う。「きみはばかだなあ、実にばかだなあ」プーッ、クスクスクス。「いいなりになっていればそこそこいい身分だろうに」プーッ、クスクスクス、バカダナアバカダナア。
男は哀れみを込めたまなざしと、言葉にしづらい笑い声と、音声学者と文学者が結託してどうあがいても決して文字にできないような足音を残して去っていった。

ピ○チュウは動けなかった。
(僕の思っていることは、本当に間違っているのだろうか)
「ピ○チュウ、あの人のいうことは正しいよ」
さっきまで石のように立ちすくんでいたケ○ロ軍曹が声をかけた。「僕たちはおもちゃ会社あっての僕たちだよ」
(本当にそうなんだろうか、本当にそうなんだろうか)
「だから僕たちはおもちゃ会社のために、もっともっとお客様を満足させるような"魅力"を身につけないと行けないんだよ」
(ならば、何故、僕たちの"魅力"は僕たちに直接的な利益をもたらさないんだろうか)
「とにかく、今日のことは忘れてさ、またピカーッっていってるお前にもどれよ」
(もう遅いんだ。僕は気付いてしまったんだ。そしていま迷っているんだ。僕の持っている魅力を存分に発揮してお客様を喜ばしたいんだけど、その手柄をすべて会社にとられると思うと、僕は……)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ということがあったとしよう。
僕たち偽装派遣はすべからくこの物語で言う「ピ○チュウ」なのだ。
お客様から評価を受けながらも、それはどこにも蓄積されない評価なのだ。
僕らの"魅力"は仕事の内容で決まるのだろうけれども、僕らの利益は案件内容で決まっているのだ。どれだけの評価を受けながらも、案件内容で利益は決まるのだ。
魅力があればあるほど、仕事の内容が良ければ良いほど、飽和した部分は死んでいくのだ。
僕たちは搾取された涙ばかりの利益でがんばればいいのか。
いや、できる限り最高の仕事をするのがいいのか。
それとも、体力との兼ね合いをとるべきなのか。
とにかく、自分の利益を守るべきなんじゃないのか。

キャスト:
ポケットモンスター ポケモン ふわふわぬいぐるみ DP ピカチュウケロロ軍曹 プラモデル ケロロ軍曹ドラえもん ぬいぐるみ(立ち)40

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このページは、YNが2008年8月26日 11:06に書いたブログ記事です。

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