コミカルなナンバーであるこの『むしむし軍歌』
歌詞にはヒロトが敬愛するジョナサン・リッチマン色が出ていると思う。
最初は笑って聴いていられるが、
才能ない やる気もない
大丈夫かな 大丈夫だ 戦争だもの
でなにか、はっとさせられる。
後半部ではこの部分が
学歴ない 就職ない
みんな合格 大歓迎 戦争だもの
となり、もう他人事ではいられない。
ジョナサン・リッチマンも甲本ヒロトも、そして以前ヒロトの歌詞/詩の比較として出した金子みすずも、擬人化をよく用いる詩人である。擬人化という言葉自体意味がないのかもしれない。人を最上位の知的生物だとは見ていないのかもしれない。とにかく様々な生態をもった生物のそれぞれの事情を慮ることを忘れない。
彼らの優しさ、ともすればメランコリックな精神は誰かが笑えば、誰かが泣くことを知っている。
ある悪魔がどこか別の場所で天使になることも知っている。詩や芸術に一番大切な「平等性」を常に考慮している。作者が一番偉いという意識も彼らにはなく、作品に対してのすべての解釈を許す。
甲本ヒロト、真島昌利の楽曲に対して説明不足、思考停止を問う批判の声は少なくないが、実はそれがどれだけ愚かしい行為か考えてみても欲しい。答えはすべては僕らの中にあり、作者とのすりあわせは不要だ。
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